超軽量 e-Bike、スペシャライズドの CREO SL CARBON で3,000km走った感想
#Specialized #クレオ #eバイク #メリット #デメリット #評判 #ロードバイク
サイトマップ > 雑記帳 > CREO SL 感想


2022年春現在、日本で発売されているロードタイプのe-バイクの中で、群を抜いて軽量のスペシャライズド CREO SL COMP CARBON に乗って1年、約3,000kmを走りました。
その間に思った、買う前に知っておきたかったこと、メリット、デメリットなどについて、書いてみます。
1 重量について
2 バッテリーの持ちは?
3 アシスト走行時の違和感は?
4 アシスト力が不十分?
5 24km/h以上での走行感
6 バッテリー・オフの走行感
7 水で丸洗い可能?
8 輪行可能? 飛行機輪行は?
9 Qファクターが、意外と広い
10 ミッション・コントロール(専用スマホアプリ)の使い勝手
11 走行中、スマホ、サイコンの充電はできる?
12 フューチャー・ショックの恩恵
13 カーボン・フレームの恩恵
14 e-バイク、ダイエット効果はある?
15 80〜120万円、出す価値は??
1 重量について
スペシャライズドの公式サイトには車重の記載がありませんが、私の2021年モデルは、実測で12.9kgでした。
標準的なe-バイクの重量は20kg前後ですので、言わずもがな、その圧倒的な軽量さは、他の追従を許しません。
「そんなこと言ったって、どうせアシストを効かすんだから、重量なんてあんまり関係ないでしょ?」と、私も思っていました。でも、他のメーカーのe-バイクを試乗した結果、アシストが明らかに弱まる22km/hを超えてからの加速感が、全然違う気がします。
あと、担いで家の中に入れたり、階段を上り下りする煩わしさが、全く違うと思います。
13kgなら、女性でもギリ、担いで階段の上り下りができる重さだと思います。
2 バッテリーの持ちは?
公式サイトには、「最大130km」走行可能、と書かれています。
この意味は、エコ・モード(アシスト率35%)をずっと効かせて走った場合の距離を指します。
つまり、アシスト率100%のターボ・モードをずっと効かせて山を登り続けたら、130kmも走れません。
このモデルは、ロードバイク・タイプです。20km以上の距離を走るライドなら、アシストが切れる24km/h以上の速度で走る時間が長くなるでしょう。その間はバッテリーは使用されません。なので、普通はエコ・モードでずっと走った場合、130kmよりも走行可能時間は長くなります。
私の場合、よく千葉県南部の山の中を1日で100kmくらい走ります。
専用スマホアプリの「ミッション・コントロール」で、アシストレベルをカスタマイズしており、エコ・モードが50%に、中間のスポーツ・モードが75%になるよう設定しています。
行きはエコ、帰りはスポーツにして、走行距離100km、平均時速20km/h、獲得標高1,300mで、100%あったバッテリーが、ゴール地点で10%前後になっています。
心配な方は、オプションの後付けバッテリー「レンジ・エクステンダー」を購入すれば、更に65kmも最大走行距離を伸ばすことができます。ボトル・ホルダーに入れて使います。
3 アシスト走行時の走行感
いわゆるママチャリタイプの電動アシスト自転車って、普通の自転車と違い、なんかペダルとチェーンの間に、弾力のあるベルトが噛んでるような不自然さ、ありませんか? クレオの場合は(値段がバカ高いので当然かもしれませんが、)電動ママチャリのそれとは全く異なり、普通のロードバイクの走行感に、かなり近いです。
いろんなメーカーのロード・タイプのe-バイクを試乗してみましたが、その中では、ペダルにかけた力が後輪に伝わるダイレクト感が、最も、と言うか唯一と言っていいくらい、ペダル・バイク(電動アシストのない普通の自転車)に近いと言えます。
(あくまでも、個人の感想です)
それは、アシスト力が強ければ良い、ということではなく、出来るだけ普通の自転車のこぐ感覚に近づける、というメーカーの設計思想のためだと思います。
(その分、アシスト力は比較的弱いです)
漕ぎ始めは、普通の自転車に近いくらいの力が必要です。
しかし、ケイデンス(回転数/分)が50を超えたあたりから、ぐいぐいアシストが効いてきます。24km/hまでの加速感は、まさに爽快そのものです。
アシスト時の音ですが、片足に力を入れるたびに、小さな、ウィン、ウィン、という音がします。でも、多分全然気にならないと思います。気になるとしたら、23.5〜24.5km/hくらいで巡航しているときに、ウィン音がしたりしなくなったりが繰り返される時、くらいですかね。
4 アシスト力は十分か
3 で述べたように、軽量化、ペダルバイクとの近似化に重点を置いたため、他のe-バイクに比べるとアシスト力は弱いです。
単なる移動手段として、坂の多い道を行ったり来たりするだけの乗り物として使うなら、アシスト力が不十分、と思うかもしれません。
しかし、CREO(クレオ)SLは、明らかに趣味のe-バイクです。ある程度のフィットネス効果、「漕いだ」感があって、初めて得られる達成感、爽快感を求めるバイクだと思っています。
それに、いくらアシスト力が控えめと言っても、自転車が通れる車道なら、登れない坂は、まずありません。
むしろ、アシスト力100%のターボ・モードで、今まで登るのを完全に諦めていた坂に入れば、「え?!」とびっくりするくらい、グイグイ進んでくれるでしょう。
5 24km/h以上での走行感
日本では道路交通法により、電動アシスト自転車のアシストは24km/hまで、と決められているので、それを超えた速度では、普通の自転車と同じになります。
実は、ここからがクレオの真骨頂だと、私は思っています。
まず、e-バイクの中では圧倒的な軽さのため、加速力が違います。どんどん加速します。また、モーターがあることで予想してしまう妙な抵抗感も、全く感じません。30km/hまで持っていき、そこで巡行する時のしんどさは、私が以前乗っていた20万円のアルミフレームのバイクと比べても、小さいと言えます。
次に、24km/hを超えてからの、ペダルを漕いだ力が後輪に伝わる時のダイレクト感が、他のe-バイクよりも全然ペダル・バイクに近いです。(個人の感想ですけれども)
更に、ペダリングしていない時の走行感も、妙な抵抗などの違和感は一切ありません。普通のロードバイクと全く同じ感覚。そこは素晴らしいと思います。
6 バッテリー・オフの走行感
クレオは、アシスト・レベルを調整するボタンを長押しすることで、アシストをオフにできます。
これで走ってみると、平地でも0〜15km/hくらいまでは、やっぱり車重のために、「あ、こいつ、重いぞ」と感じてしまいます。
特に上り坂。これはかなりしんどいと言わざるを得ません。まあ、他の20kgあるe-バイクよりはずっとマシですけど。
なので、ライドの後半に上りがある場合は、バッテリーが切れないようにアシスト・レベルをうまく調整する必要があります。
(専用スマホアプリ「ミッション・コントロール」には、最初にライド距離、獲得標高を入力しておくと、バッテリーが途中で切れないように自動でアシスト・レベルを調整してくれる機能が付いている、ということになっています。それだけ聞くと、素晴らしい!と思うのですが、実際上り下りのあるライドで使ってみたところ、うーん、「ダメだ使えない」の一言ですかね...)
7 水で丸洗いは可能か?
可能です。バッテリーやモーターなどの電気系統が濡れないの?大丈夫? と思うのが普通ですが、販売店さん曰く、「多少の雨なら大丈夫です。雨天時の走行ももちろん考慮して設計されてますから」だそうです。
今まで、6〜7回ほどホースでジャブジャブ水をかけながら丸洗いしましたけど、ジェット水流をモーター近辺に吹き付けなければ大丈夫だと思います。今のところ、異常はありません。
ブレーキとリア・ディレイラー用のケーブルが、フレームに入っていく穴。ここから、わずかに水がフレーム内に入りますが。

フレームの底にはこんな穴が開いていて、ここからフレーム内に入った水は排出されます。

フレームには電源を繋ぐポートがあります。こんな蓋が付いていて、ちょっとくらいの水ハネなら、中には入りません。

さらに、蓋の内側には水の侵入を防ぐ凹凸があり(ゴムパッキンではない)、水の中にザブンと漬けない限り、ポートがショートを起こす恐れはないでしょう。

8 輪行は可能? 飛行機輪行は?
輪行のためのバイクの分解は、通常のロードバイクとほぼ同様に可能です。
また、車重は通常のロードバイク(9kg前後)と比べてプラス4kgほどですが、あ、重いぞ、という実感はあるものの、「もう二度と輪行はしたくない〜」と悲しくなるほどの重量ではありません。
さて、飛行機輪行ですが、これは航空会社によって異なります。
電動アシスト自転車の場合、取り外し可能なバッテリー、容量160hWまでなら、バッテリーのみを客室内持ち込みにした上で、貨物室に搭載可能、としている航空会社があるようです。
クレオ SLのフレームに内蔵されているバッテリーは出力が240hWなので飛行機への搭載は不可ですが、これを販売店で取り外してもらい、160hWのレンジエクステンダーを手荷物として客室に持ち込むことで、クレオを飛行機輪行する、という裏技がないわけではないようです。
一方で、医療目的の乗り物(電動車椅子など)以外は、一切のバッテリー駆動の乗り物の搭載は不可、としている航空会社もあるようです。
9 Qファクターが、意外と広い
Qファクターとは、ざっくり言えば、左右のペダルとペダルの間の距離です。

クレオのQファクターは181mm。これは通常のロードバイクよりも、3〜4cmも広いです。
試乗時、違和感を感じる方もいるかもしれません。
というか、この違和感のために、クレオ購入を断念した、という人もいるらしいです。
私も最初は正直、かなりの違和感を感じました。
でも、乗り始めて300kmほど走った頃には、すっかり慣れてしまい、違和感はなくなっていました。
10 ミッション・コントロールの使い勝手
クレオには、専用スマホアプリの「ミッション・コントロール」があります。

バイクのトップチューブには、こんなコントロール・ユニットがあるのですが。

これでできることは、電源のオン・オフとアシスト・レベルの調節くらい。それ以外のほとんどの設定や表示などは、ミッション・コントロールで行います。
これは、アプリのサイコン機能画面です。

バイク本体とBluetoothでつながり、走行中、以下の項目のうち6つを選んで表示させることができます。
出発からの距離
出発からの時間
日付
現在時刻
現在速度
平均速度
バッテリー残量(% or Wh)
バッテリー消費量
平均バッテリー消費量
消費カロリー
心拍計(別途センサーが必要)
平均心拍数
現在のパワー
現在のケイデンス
平均ケイデンス
現在の標高
獲得標高
普通のバイクなら、回転数を測るためのセンサーやパワーメーターの装着が必要な項目もありますが、クレオには、モーターユニットにその機能が内蔵されています。
残念ながらナビゲーション機能はないので、サイコンを別途買うか、スマホの地図アプリでナビゲーションします。
ケチな私は安くないお金を払ってサイコンの地図データを更新するのがイヤなので、サイコンは買わず、ナビを使うときは、最近自転車ナビの機能が追加されたGoogle Mapを表示させています。もちろん、他のアプリを表示している間も、サイコン機能は裏で働き続けます。
サイコン機能は、バイクが一定時間停車すると自動で一時停止し、走り出すと自動で計測を再開する、という選択もできます。
11 走行中の、バッテリーからの充電
せっかく重いバッテリーを積んでいるのですから、当然そのくらいの機能はあって然るべき、と思います。
ですが残念ながら、フレーム内蔵のバッテリーを使ったモバイル機器やサイコン、ライト類の充電はできません。
今後の改良で、充電用のUSBポートができたらな〜、と思います。
今のところ、サドルバッグにモバイルバッテリーを入れて、そこから充電ケーブルをフレームに這わせて、走行中に充電してます。正直、見た目はカッコ悪いです。
12 フューチャー・ショックの恩恵
フューチャー・ショックとは、ハンドル下部に搭載されたショックアブソーバーです。下の画像、ステム上のダイヤルが、硬さの調節ダイヤルです。(硬さ調節ができないモデルもあります)

以前は、100km前後のライドだと、ハンドルから手に伝わる振動のために、手首や肘が痛くなっていました。しかし、フューチャー・ショックを搭載したクレオに乗り換えてからは、その痛みも一切なくなりました。
ストロークが長いフロントフォーク・サスペンションのついたMTBに比べると、劇的な乗り心地の変化は感じないかもしれませんが、私にとっては大きなメリットでした。
なお、意外なデメリットとして、この機構があるために、ハンドルの高さの調節がほとんどできません。これは、正直どうにかして欲しいです。
とは言え、全くできないわけではなく、ハンドルとフレームの間の流線形の部品を交換することで、1cmくらい下げることはできます。

13 カーボン・フレームの恩恵
確かに、軽量、振動吸収の点では、アルミフレームよりも優れてはいるのでしょう。
ただ、以前私が乗っていた20万円くらいのトレックのアルミフレームのバイクに比べて、劇的に乗り心地が良くなったか、と言われると、正直実感はできていないです。
2022年春現在、クレオのラインナップは、アルミフレームが約80万円、カーボンフレームは約120万円と、私が買った時よりもかなり高くなってしまいました。その理由は、コロナによる自転車部品調達難、記録的な円安だけじゃなく、カーボンフレームモデルへの電動変速機、カーボンホイールの採用も大きく影響していると思いますが...。何にしても、120万円の現在の値段はかなり躊躇しちゃいます。今の自分なら、割れたりしにくいアルミでもいいんじゃないかなー、と思います。
14 e-バイクにはダイエット効果はない?
まあこれは、乗り方にもよるんでしょうけれども。
前にも書きましたが、クレオに限らず、ロード・タイプの電動アシスト自転車を買う理由って、遠くまで、速く走る、っていうのが多かれ少なかれ、あると思うんですよね。
だとしたら、ずっとアシストがガンガン効きっぱなしの乗り方じゃなく、車道をアシストが効かない高速で駆け抜ける、という場面も少なくないと思います。そうすると、当然カロリーを消費します。
そして上り坂。アシストレベルをスマホアプリで35〜70%に設定して、坂の角度や体力に合わせて調節すれば、適度な有酸素運動ができます。
私は横浜に住んでいますが、横浜や都内って、意外と坂が多いんですよね。そんな中、e-バイクがあれば、自転車で出かける心のハードルが一気に下がります。上り坂は楽しみながら有酸素運動、降りは爽快な高速。気持ちいいことこの上ないです。私の場合、1時間で400kcal程度消費します(スマートフォンのアプリが自動的に計算、記録します)。これを続ければ、かなりのフィットネスになると思います。
15 80〜120万円出す価値は?
フツーの人からすれば、自転車に100万円前後出すなんて、狂ってます(笑)。
でかいバイク(エンジン付きの)どころか、軽自動車が新車で買えちゃいますから。移動手段として考えるなら、あり得ないです。
でも、自分にとっては、とてもいい買い物だったと心から思っています。
普通のロードバイクと比べても違和感のない、唯一無二の乗り味。歳を取っても、若い頃と同じようにロングライドや登坂を楽しめる。特に、今までなら脚力不足で絶対避けていたような山道でも、笑顔で入って行ける。それまで経験したことのない爽やかな林道や山上からの雄大な景色を楽しめるようになったことは、サイクリング大好きの自分にとって、人生の新しい境地を開拓した、くらいの意味がありました。
最初は「自転車に80万円なんて、馬鹿じゃないの」と呆れていた妻や娘も、楽しそうに自転車に乗る私を見るにつけ、最近は「お父さん、楽しく運動できるようになってよかったね」と言ってくれます。
Commented
by
高州 宙兒
at 2022-08-03 01:35
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2022年春現在、日本で発売されているロードタイプのe-バイクの中で、群を抜いて軽量のスペシャライズド CREO SL COMP CARBON に乗って1年、約3,000kmを走りました。
その間に思った、買う前に知っておきたかったこと、メリット、デメリットなどについて、書いてみます。
1 重量について
2 バッテリーの持ちは?
3 アシスト走行時の違和感は?
4 アシスト力が不十分?
5 24km/h以上での走行感
6 バッテリー・オフの走行感
7 水で丸洗い可能?
8 輪行可能? 飛行機輪行は?
9 Qファクターが、意外と広い
10 ミッション・コントロール(専用スマホアプリ)の使い勝手
11 走行中、スマホ、サイコンの充電はできる?
12 フューチャー・ショックの恩恵
13 カーボン・フレームの恩恵
14 e-バイク、ダイエット効果はある?
15 80〜120万円、出す価値は??
1 重量について
スペシャライズドの公式サイトには車重の記載がありませんが、私の2021年モデルは、実測で12.9kgでした。
標準的なe-バイクの重量は20kg前後ですので、言わずもがな、その圧倒的な軽量さは、他の追従を許しません。
「そんなこと言ったって、どうせアシストを効かすんだから、重量なんてあんまり関係ないでしょ?」と、私も思っていました。でも、他のメーカーのe-バイクを試乗した結果、アシストが明らかに弱まる22km/hを超えてからの加速感が、全然違う気がします。
あと、担いで家の中に入れたり、階段を上り下りする煩わしさが、全く違うと思います。
13kgなら、女性でもギリ、担いで階段の上り下りができる重さだと思います。
2 バッテリーの持ちは?
公式サイトには、「最大130km」走行可能、と書かれています。
この意味は、エコ・モード(アシスト率35%)をずっと効かせて走った場合の距離を指します。
つまり、アシスト率100%のターボ・モードをずっと効かせて山を登り続けたら、130kmも走れません。
このモデルは、ロードバイク・タイプです。20km以上の距離を走るライドなら、アシストが切れる24km/h以上の速度で走る時間が長くなるでしょう。その間はバッテリーは使用されません。なので、普通はエコ・モードでずっと走った場合、130kmよりも走行可能時間は長くなります。
私の場合、よく千葉県南部の山の中を1日で100kmくらい走ります。
専用スマホアプリの「ミッション・コントロール」で、アシストレベルをカスタマイズしており、エコ・モードが50%に、中間のスポーツ・モードが75%になるよう設定しています。
行きはエコ、帰りはスポーツにして、走行距離100km、平均時速20km/h、獲得標高1,300mで、100%あったバッテリーが、ゴール地点で10%前後になっています。
心配な方は、オプションの後付けバッテリー「レンジ・エクステンダー」を購入すれば、更に65kmも最大走行距離を伸ばすことができます。ボトル・ホルダーに入れて使います。
3 アシスト走行時の走行感
いわゆるママチャリタイプの電動アシスト自転車って、普通の自転車と違い、なんかペダルとチェーンの間に、弾力のあるベルトが噛んでるような不自然さ、ありませんか? クレオの場合は(値段がバカ高いので当然かもしれませんが、)電動ママチャリのそれとは全く異なり、普通のロードバイクの走行感に、かなり近いです。
いろんなメーカーのロード・タイプのe-バイクを試乗してみましたが、その中では、ペダルにかけた力が後輪に伝わるダイレクト感が、最も、と言うか唯一と言っていいくらい、ペダル・バイク(電動アシストのない普通の自転車)に近いと言えます。
(あくまでも、個人の感想です)
それは、アシスト力が強ければ良い、ということではなく、出来るだけ普通の自転車のこぐ感覚に近づける、というメーカーの設計思想のためだと思います。
(その分、アシスト力は比較的弱いです)
漕ぎ始めは、普通の自転車に近いくらいの力が必要です。
しかし、ケイデンス(回転数/分)が50を超えたあたりから、ぐいぐいアシストが効いてきます。24km/hまでの加速感は、まさに爽快そのものです。
アシスト時の音ですが、片足に力を入れるたびに、小さな、ウィン、ウィン、という音がします。でも、多分全然気にならないと思います。気になるとしたら、23.5〜24.5km/hくらいで巡航しているときに、ウィン音がしたりしなくなったりが繰り返される時、くらいですかね。
4 アシスト力は十分か
3 で述べたように、軽量化、ペダルバイクとの近似化に重点を置いたため、他のe-バイクに比べるとアシスト力は弱いです。
単なる移動手段として、坂の多い道を行ったり来たりするだけの乗り物として使うなら、アシスト力が不十分、と思うかもしれません。
しかし、CREO(クレオ)SLは、明らかに趣味のe-バイクです。ある程度のフィットネス効果、「漕いだ」感があって、初めて得られる達成感、爽快感を求めるバイクだと思っています。
それに、いくらアシスト力が控えめと言っても、自転車が通れる車道なら、登れない坂は、まずありません。
むしろ、アシスト力100%のターボ・モードで、今まで登るのを完全に諦めていた坂に入れば、「え?!」とびっくりするくらい、グイグイ進んでくれるでしょう。
5 24km/h以上での走行感
日本では道路交通法により、電動アシスト自転車のアシストは24km/hまで、と決められているので、それを超えた速度では、普通の自転車と同じになります。
実は、ここからがクレオの真骨頂だと、私は思っています。
まず、e-バイクの中では圧倒的な軽さのため、加速力が違います。どんどん加速します。また、モーターがあることで予想してしまう妙な抵抗感も、全く感じません。30km/hまで持っていき、そこで巡行する時のしんどさは、私が以前乗っていた20万円のアルミフレームのバイクと比べても、小さいと言えます。
次に、24km/hを超えてからの、ペダルを漕いだ力が後輪に伝わる時のダイレクト感が、他のe-バイクよりも全然ペダル・バイクに近いです。(個人の感想ですけれども)
更に、ペダリングしていない時の走行感も、妙な抵抗などの違和感は一切ありません。普通のロードバイクと全く同じ感覚。そこは素晴らしいと思います。
6 バッテリー・オフの走行感
クレオは、アシスト・レベルを調整するボタンを長押しすることで、アシストをオフにできます。
これで走ってみると、平地でも0〜15km/hくらいまでは、やっぱり車重のために、「あ、こいつ、重いぞ」と感じてしまいます。
特に上り坂。これはかなりしんどいと言わざるを得ません。まあ、他の20kgあるe-バイクよりはずっとマシですけど。
なので、ライドの後半に上りがある場合は、バッテリーが切れないようにアシスト・レベルをうまく調整する必要があります。
(専用スマホアプリ「ミッション・コントロール」には、最初にライド距離、獲得標高を入力しておくと、バッテリーが途中で切れないように自動でアシスト・レベルを調整してくれる機能が付いている、ということになっています。それだけ聞くと、素晴らしい!と思うのですが、実際上り下りのあるライドで使ってみたところ、うーん、「ダメだ使えない」の一言ですかね...)
7 水で丸洗いは可能か?
可能です。バッテリーやモーターなどの電気系統が濡れないの?大丈夫? と思うのが普通ですが、販売店さん曰く、「多少の雨なら大丈夫です。雨天時の走行ももちろん考慮して設計されてますから」だそうです。
今まで、6〜7回ほどホースでジャブジャブ水をかけながら丸洗いしましたけど、ジェット水流をモーター近辺に吹き付けなければ大丈夫だと思います。今のところ、異常はありません。
ブレーキとリア・ディレイラー用のケーブルが、フレームに入っていく穴。ここから、わずかに水がフレーム内に入りますが。

フレームの底にはこんな穴が開いていて、ここからフレーム内に入った水は排出されます。

フレームには電源を繋ぐポートがあります。こんな蓋が付いていて、ちょっとくらいの水ハネなら、中には入りません。

さらに、蓋の内側には水の侵入を防ぐ凹凸があり(ゴムパッキンではない)、水の中にザブンと漬けない限り、ポートがショートを起こす恐れはないでしょう。

8 輪行は可能? 飛行機輪行は?
輪行のためのバイクの分解は、通常のロードバイクとほぼ同様に可能です。
また、車重は通常のロードバイク(9kg前後)と比べてプラス4kgほどですが、あ、重いぞ、という実感はあるものの、「もう二度と輪行はしたくない〜」と悲しくなるほどの重量ではありません。
さて、飛行機輪行ですが、これは航空会社によって異なります。
電動アシスト自転車の場合、取り外し可能なバッテリー、容量160hWまでなら、バッテリーのみを客室内持ち込みにした上で、貨物室に搭載可能、としている航空会社があるようです。
クレオ SLのフレームに内蔵されているバッテリーは出力が240hWなので飛行機への搭載は不可ですが、これを販売店で取り外してもらい、160hWのレンジエクステンダーを手荷物として客室に持ち込むことで、クレオを飛行機輪行する、という裏技がないわけではないようです。
一方で、医療目的の乗り物(電動車椅子など)以外は、一切のバッテリー駆動の乗り物の搭載は不可、としている航空会社もあるようです。
9 Qファクターが、意外と広い
Qファクターとは、ざっくり言えば、左右のペダルとペダルの間の距離です。

クレオのQファクターは181mm。これは通常のロードバイクよりも、3〜4cmも広いです。
試乗時、違和感を感じる方もいるかもしれません。
というか、この違和感のために、クレオ購入を断念した、という人もいるらしいです。
私も最初は正直、かなりの違和感を感じました。
でも、乗り始めて300kmほど走った頃には、すっかり慣れてしまい、違和感はなくなっていました。
10 ミッション・コントロールの使い勝手
クレオには、専用スマホアプリの「ミッション・コントロール」があります。

バイクのトップチューブには、こんなコントロール・ユニットがあるのですが。

これでできることは、電源のオン・オフとアシスト・レベルの調節くらい。それ以外のほとんどの設定や表示などは、ミッション・コントロールで行います。
これは、アプリのサイコン機能画面です。

バイク本体とBluetoothでつながり、走行中、以下の項目のうち6つを選んで表示させることができます。
出発からの距離
出発からの時間
日付
現在時刻
現在速度
平均速度
バッテリー残量(% or Wh)
バッテリー消費量
平均バッテリー消費量
消費カロリー
心拍計(別途センサーが必要)
平均心拍数
現在のパワー
現在のケイデンス
平均ケイデンス
現在の標高
獲得標高
普通のバイクなら、回転数を測るためのセンサーやパワーメーターの装着が必要な項目もありますが、クレオには、モーターユニットにその機能が内蔵されています。
残念ながらナビゲーション機能はないので、サイコンを別途買うか、スマホの地図アプリでナビゲーションします。
ケチな私は安くないお金を払ってサイコンの地図データを更新するのがイヤなので、サイコンは買わず、ナビを使うときは、最近自転車ナビの機能が追加されたGoogle Mapを表示させています。もちろん、他のアプリを表示している間も、サイコン機能は裏で働き続けます。
サイコン機能は、バイクが一定時間停車すると自動で一時停止し、走り出すと自動で計測を再開する、という選択もできます。
11 走行中の、バッテリーからの充電
せっかく重いバッテリーを積んでいるのですから、当然そのくらいの機能はあって然るべき、と思います。
ですが残念ながら、フレーム内蔵のバッテリーを使ったモバイル機器やサイコン、ライト類の充電はできません。
今後の改良で、充電用のUSBポートができたらな〜、と思います。
今のところ、サドルバッグにモバイルバッテリーを入れて、そこから充電ケーブルをフレームに這わせて、走行中に充電してます。正直、見た目はカッコ悪いです。
12 フューチャー・ショックの恩恵
フューチャー・ショックとは、ハンドル下部に搭載されたショックアブソーバーです。下の画像、ステム上のダイヤルが、硬さの調節ダイヤルです。(硬さ調節ができないモデルもあります)

以前は、100km前後のライドだと、ハンドルから手に伝わる振動のために、手首や肘が痛くなっていました。しかし、フューチャー・ショックを搭載したクレオに乗り換えてからは、その痛みも一切なくなりました。
ストロークが長いフロントフォーク・サスペンションのついたMTBに比べると、劇的な乗り心地の変化は感じないかもしれませんが、私にとっては大きなメリットでした。
なお、意外なデメリットとして、この機構があるために、ハンドルの高さの調節がほとんどできません。これは、正直どうにかして欲しいです。
とは言え、全くできないわけではなく、ハンドルとフレームの間の流線形の部品を交換することで、1cmくらい下げることはできます。

13 カーボン・フレームの恩恵
確かに、軽量、振動吸収の点では、アルミフレームよりも優れてはいるのでしょう。
ただ、以前私が乗っていた20万円くらいのトレックのアルミフレームのバイクに比べて、劇的に乗り心地が良くなったか、と言われると、正直実感はできていないです。
2022年春現在、クレオのラインナップは、アルミフレームが約80万円、カーボンフレームは約120万円と、私が買った時よりもかなり高くなってしまいました。その理由は、コロナによる自転車部品調達難、記録的な円安だけじゃなく、カーボンフレームモデルへの電動変速機、カーボンホイールの採用も大きく影響していると思いますが...。何にしても、120万円の現在の値段はかなり躊躇しちゃいます。今の自分なら、割れたりしにくいアルミでもいいんじゃないかなー、と思います。
14 e-バイクにはダイエット効果はない?
まあこれは、乗り方にもよるんでしょうけれども。
前にも書きましたが、クレオに限らず、ロード・タイプの電動アシスト自転車を買う理由って、遠くまで、速く走る、っていうのが多かれ少なかれ、あると思うんですよね。
だとしたら、ずっとアシストがガンガン効きっぱなしの乗り方じゃなく、車道をアシストが効かない高速で駆け抜ける、という場面も少なくないと思います。そうすると、当然カロリーを消費します。
そして上り坂。アシストレベルをスマホアプリで35〜70%に設定して、坂の角度や体力に合わせて調節すれば、適度な有酸素運動ができます。
私は横浜に住んでいますが、横浜や都内って、意外と坂が多いんですよね。そんな中、e-バイクがあれば、自転車で出かける心のハードルが一気に下がります。上り坂は楽しみながら有酸素運動、降りは爽快な高速。気持ちいいことこの上ないです。私の場合、1時間で400kcal程度消費します(スマートフォンのアプリが自動的に計算、記録します)。これを続ければ、かなりのフィットネスになると思います。
15 80〜120万円出す価値は?
フツーの人からすれば、自転車に100万円前後出すなんて、狂ってます(笑)。
でかいバイク(エンジン付きの)どころか、軽自動車が新車で買えちゃいますから。移動手段として考えるなら、あり得ないです。
でも、自分にとっては、とてもいい買い物だったと心から思っています。
普通のロードバイクと比べても違和感のない、唯一無二の乗り味。歳を取っても、若い頃と同じようにロングライドや登坂を楽しめる。特に、今までなら脚力不足で絶対避けていたような山道でも、笑顔で入って行ける。それまで経験したことのない爽やかな林道や山上からの雄大な景色を楽しめるようになったことは、サイクリング大好きの自分にとって、人生の新しい境地を開拓した、くらいの意味がありました。
最初は「自転車に80万円なんて、馬鹿じゃないの」と呆れていた妻や娘も、楽しそうに自転車に乗る私を見るにつけ、最近は「お父さん、楽しく運動できるようになってよかったね」と言ってくれます。
by h9w457y8i
| 2022-05-24 15:08
| 雑記帳
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Comments(2)

現在、コラテックPT500を愛用中です。 名古屋在住の友人(業界人)の推奨で、数あるeBikeから選びました。
結論的に言えば、大正解だったと思います。 理由は色々ありますが、何と言ってもアシストなしのロードバイクに比肩する走りをして呉れる点が満足です。実はスペシャライズド・クレオにも試乗しましたが、極く短い時間と距離だった所為か、それ程の違いは感ぜず、cost paformanceから見れば、コラテックの方が遥かに良いと思いました。特に、ボッシュのモーターが素晴らしく、以前に乗っていたヤマハYJPのモーター音に比べ殆ど無音に近い点が気に入っています。24k m以上の走行感覚も普通のロードバイク並みで素晴らしいです。
結論的に言えば、大正解だったと思います。 理由は色々ありますが、何と言ってもアシストなしのロードバイクに比肩する走りをして呉れる点が満足です。実はスペシャライズド・クレオにも試乗しましたが、極く短い時間と距離だった所為か、それ程の違いは感ぜず、cost paformanceから見れば、コラテックの方が遥かに良いと思いました。特に、ボッシュのモーターが素晴らしく、以前に乗っていたヤマハYJPのモーター音に比べ殆ど無音に近い点が気に入っています。24k m以上の走行感覚も普通のロードバイク並みで素晴らしいです。
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高洲さん
コメント、ありがとうございます。ドイツのコラテック、なるほど、いいですね!e-バイク、楽しいですよね〜
コメント、ありがとうございます。ドイツのコラテック、なるほど、いいですね!e-バイク、楽しいですよね〜