【重要文化財】 旧真宗信徒生命保険株式会社本館(本願寺伝道院) 概要

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国指定重要文化財
旧真宗信徒生命保険株式会社 本館(本願寺伝道院)

きゅうしんしゅうしんとせいめいほけんかぶしきがいしゃ ほんかん(ほんがんじでんどういん)


竣工 : 1912年(明治45年)
構造および形式 : 煉瓦造、建築面積627.70㎡、二階建一部三階建、一部地下一階、銅板葺、南西隅門及び煉瓦塀附属、煉瓦造、延長7.6m
重要文化財指定 : 2014年(平成26年)
附指定棟札 1枚、石柵柱 22基


b0212342_11095213.jpg 真宗信徒生命保険株式会社は本願寺が大株主となり、おもに真宗信徒を顧客とする生命保険会社として、明治28年(1895年)4月に設立された。同43年(1910年)になって新社屋として本館の建築に着手し、同44年(1911年)4月上棟、同45年(1912年)1月に竣工した。設計は東京帝国大学教授の伊東忠太で、施工は竹中藤右衛門が請け負った。
 大正3年以降、たびたび社名や経営者の変更があり、一部が貸事務所などに使用されたが、昭和48年からは本願寺伝道院として寺の布教、学問所となり、現在に至る。

 敷地は東西に長い長方形で、本館を西寄りに配置し、北西隅に玄関を開く。道路に沿って本館の北面から西面へ石柵柱が並んでいる。
 本館は、煉瓦造、建築面積627.70㎡、二階建一部三階建で、北東隅一部を地下一階とし、三階は北西隅に八角形大塔屋(左画像)、東面南寄りに六角形小塔屋をつくり、屋根は銅板葺とする。南西隅には矩折れで門と煉瓦塀を附属する。
 平面は、一階の北西隅を八角形の「玄關」とし、玄関南東の「廣間」に大階段を設ける。玄關の南には「第二應接室」、「第三應接室」を並べ、廣間から東へ廊下が延び、南に「第一事務室」、北に「第二事務室」を置く。第二事務室の東には「醫務室」、「診察室」の二室を置き、廊下の東端には裏玄関を置く。二階は階段室の西に北から八角形の「貴賓室」と重役室を二室並べ、階段室から東に延びる廊下の北に「第一會議室」と「第一應接室」、南に「第二會議室」を置く。第二會議室の東面には台形の仏間を据える。三階は二階西の階段を上ると「大塔屋」に、廊下東の階段を上ると小屋裏の物置を経て六角小塔屋に至る。地下の「地中室」はボイラー室とみられる。

b0212342_11122100.jpg 外観は煉瓦色化粧タイル張とした煉瓦壁で、二階窓高に花崗岩の白帯を廻らせるなど、全体として一九世紀後期の英国風の様式を基調としている(左画像)が、大塔屋の円ドームや小塔屋の六角屋根はインド風、塔屋廻りの擬宝珠高欄は中国風とするなど、アジア大陸のさまざまな意匠を大胆に取り入れている。さらに玄關や窓上の人字形割束を模したペディメント、破風を思わせる反りのある妻壁、組物を載せた柱型など、随所に日本建築の細部意匠を解釈、再構築しながら付加している。
 内部も洋風意匠を基調とするが、各室の折上天井やカウンター廻りの双斗形柱頭飾り、ペディメントの格狭間、玄關ニッチ上部の八双形など、要所に伝統的な日本建築の造形をちりばめる。特に大塔屋は石柱の上に頭貫と台輪を廻して出組組物を載せた石造軸組構成になっているが、天井は円形のドームとし、イスラム風アーチを更に変形させた欄間付の扉を各面に並べるなど、多彩な様式を駆使して濃密な意匠にまとめている。各部屋の照明器具も独特な造形で、アール・ヌーヴォー風の曲線やゼツェッシオン風の直線を用いて構成されている。

b0212342_11135213.jpg 石柵柱は、四角形若しくは八角形の花崗岩石柱で、頂部に翼をもつ象や鳥などの霊獣の像を彫り出しており、伊東忠太の好みをよく表している。
b0212342_11162316.jpg 旧真宗信徒生命保険株式会社本館は、明治時代末期の本格的な煉瓦造の事務所建築であり、全体は英国風の様式を基調としつつ、随所に日本建築の伝統的意匠を解釈、再構築して配置し、さらにインドや中国など異種の建築様式を大胆に取り込むなど、独創的な意匠である。伊東忠太の建築進化論に基づいて実現された初期の代表作であり、我が国における建築様式を追求した道程を体現した建築として価値が高い。

左画像は、南東のインド風塔屋。



by h9w457y8i | 2015-04-17 08:06 | 京都 | Comments(0)
だけでなく、世界各地の世界遺産見学のしかた、海外鉄道の乗り方、各地を訪れた時の街角スナップも。