旧日本郵船株式会社小樽支店 概要

北海道/近代文化遺産リスト旧日本郵船株式会社小樽支店 > 概要

国指定重要文化財

竣工: 明治39年(1906年)(小樽市公式サイトより。文化庁国指定文化財等データベースによると、明治38年となっている)
文化財指定: 昭和44年(1969年)
構造および形式: 石造、建築面積485㎡、二階建、正面玄関付、鉄板葺
附指定:  石造表門および潜門、石塀棟札


「重要文化財旧日本郵船株式会社小樽支店は明治37年(1904年)着工、同39年(1906年)10月に落成した近世ヨーロッパ復興様式の石造2階建建築です。設計者佐立七次郎、施工は地元の大工棟梁山口岩吉があたり、工費は当時の金額で約6万円でした。当時小樽は北海道開拓の拠点都市として商業港湾機能を充実しつつあり、船舶・海運・倉庫業界が競って、船入澗を設置し石造倉庫を建てました。また明治後半から一流建築家達が当時の最先端の技術で、代表的作品を残しました。この建物はその草創期の象徴的存在です。
 昭和30年(1955年)市が日本郵船から譲り受け、翌31年から小樽市博物館として再利用されて来ましたが、44年(1969年)3月には、明治後期の代表的石造建築として国の重要文化財に指定されました。  しかし年ごとに老朽化が目立って来たため、59年(1984年)10月修復工事を着工、33カ月の工期を経て62年(1987年)6月しゅん工しました。ここに商都小樽を代表する明治後期の商業建築が優れた文化遺産としてよみがえりました。

旧日本郵船株式会社小樽支店 概要_b0212342_05051940.jpg建物は表玄関を中心に左右対称、北面に貴賓用横玄関を配し、背面両翼に張り出すコの字型平面をとっています。外壁は厚さ約75センチメートルの小樽天狗山産軟石、腰・胴蛇腹・軒部分は登別産中硬石を使用、内部は事務所としての機能性と、大理石敷き横玄関、繊細な木彫の大階段手すり、美しく精緻な中心飾り等格調高い装飾が調和し、華麗な貴賓室を有する商業建築として、設計者の周到な計画と配慮が見られます。
内装には米国製のスチールシャッター、建具金物類を用い、また暖房は地下にボイラー室を設け蒸気暖房とし、窓はすべて二重ガラスで北国の冬を考慮した当時としては最新式の設備を備えていました。

旧日本郵船株式会社小樽支店 概要_b0212342_05331053.jpg旧日本郵船株式会社小樽支店 概要_b0212342_17064426.jpg
完全復元となった2階貴賓室は寄木造りの床、空色漆喰の天井、菊紋内摺セードシャンデリア、菊模様の 金唐革紙(※)の壁、絨鍛、鏡付大理石暖炉等で彩られ、家具調度類の配置、 また色彩的にも往時の雰囲気がよく伝わってくる贅を尽した華麗な空間です。
隣りの会議室は約198平方メートル。広さを強調する吊り天井の大胆な弧を描く装飾彫刻と中心飾り、シャンデリアの光を反射するアカンサス模様の金唐革紙、床を覆う大絨鍛、大テーブルと36個の椅子が悠然として迫力ある時代を感じさせます。

「新築後まもなく、日露戦争(1904〜1905年)の講和条約による樺太の国境画定会議が小樽で開かれることになり、この建物の2階会議室で両国代表による会議が開かれ、隣の貴賓室で祝杯が交わされました」
現地案内看板より

※金唐革紙(きんからかわかみ)
江戸時代にオランダ貿易で欧州から輸入した革製品をヒントに和紙で製造した革に似せた紙。はじめはタバコ入れとか小物を作っていましたが、明治初期から大蔵省印刷局で壁紙を作り、欧米へ輸出するようになりました。

旧日本郵船株式会社小樽支店 概要_b0212342_05110851.jpg  1階は客溜りと営業室が高いカウンターで仕切られており、力強い格天井と色鮮やかな天井紙等が海運業の隆盛を象徴しています。細部仕様まで復元された照明器具の高さ、机・椅子類の配置が執務状況を実感させ、豪壮な造りの金庫室や支店長室、応接室などとも機能的に調和がとれています。

渡り廊下でつなぐ瓦葺附属舎には球戯室、倶楽部、看貫場(計量室)などが配置され、当時の特徴的な仕様と景観が見られます。

設計者 佐立七次郎(1856~1922)
 安政3年讃岐藩士の家に生まれる。工部大学校造家学科(現東大工学部)の第一期生。同期は辰野金吾(日銀小樽支店・東京駅)、片山東熊(迎賓館)、曽禰達蔵(三井銀行小樽支店)の3人がいる。 卒業後、工部省、海軍省、逓信省を経て、明治30年頃より日本郵船の建築顧問となる。現存する作品としては日本水準原点標庫(東京憲政記念庭園内)がある。」

小樽市公式サイト内、当該文化財紹介ページより(現地配布パンフレットの内容と同じ)

.

by h9w457y8i | 2013-11-24 07:48 | Comments(0)

日本だけでなく、世界各地の世界遺産見学のしかた、海外鉄道の乗り方、各地を訪れた時の街角スナップも。


by h9w457y8i

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31