【重要文化財】 豊稔池堰堤  概要

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ほうねんいけえんてい
国指定重要文化財
附指定: 豊稔池碑旧火薬貯蔵庫・旧土砂吐樋門・旧中樋取水バルブ
竣工: 昭和4年(1929年)
構造および形式等: マルチプルアーチ式コンクリート造堰堤(ダム)、堤長145.5m、堤高30.4m
文化財指定: 平成18年(2006年)



 豊稔池堰堤は、香川県西端部をほぼ南北に貫流する柞田川(くにたがわ)の上流に位置する溜池堰堤(ためいけえんてい=ため池のためのダム)である。

 豊稔池堰堤は、香川県を事業主体として実施された用排水改良事業の一環として、佐野藤次郎と農林技師杉浦翠の指導のもと、地方農林技師木村真五郎の設計に基づき、同鈴木信夫を工事主任として建設が進められたもので、大正15年(1926年)3月に起工、昭和4年(1929年)11月に竣工し、翌昭和5年(1930年)3月に竣工式が行われた(各年月は『豊稔池築造記 未定稿』(三豊郡大関耕地整理組合事務所編修 豊稔池土地改良区所蔵)による)。  
 溜池は起工以来、田野々池(たののいけ)と呼ばれてきたが、昭和4年5月に現地視察した大蔵大臣、三土忠造(みつちちゅうぞう)により豊稔池と命名されたという。建設後、漏水防止を目的とした工事が二度実施されているが、全体として躯体の保存状況は良好である。  

 豊稔池堰堤は、柞田川狭窄部の砂岩、頁岩、凝灰岩等からなる岩盤上に築かれた、堤長145.5m、堤高30.4mのコンクリート造堰堤で、両端部を重力式、中央部をマルチプルアーチ式とし、堰堤下流側には石張の水叩を設ける。
 重力式堰堤部分は、非越流式とし、表面を砂岩の布積で築く。

南側躯体の天端には竣工を記念する『豊稔池碑』(附指定)を配する。

『豊稔池碑』には、建設の経緯と関連技術者などを記した銅板を中央部と下部に嵌め込み、その周囲に五穀豊穣を表す稲、麦、鳥などを描く。
b0212342_15240110.jpg マルチプルアーチ式堰堤部分は、堤長87.0mで、中央部53.2mを越流式とする。
堰堤軸(ダム軸)と直角方向に中心間隔14.5m毎に配された計六列の扶壁が、約5分勾配で傾斜して、貯水を受ける欠円アーチ形の遮水壁を支え、各遮水壁が堰堤軸方向の外力を両側の重力式堰堤に伝える。
表面は、堤体下流側アーチ部と扶壁の出隅をコンクリートブロック、その他の部分を砂岩の布積で築く重厚なつくりとする。

扶壁とアーチ部には、堰堤軸と直交して取水及び土砂吐樋管(どしゃとひかん。ダムに溜まった土砂を排出する管)を取付け、さらに中央四列の扶壁にはサイフォン式余水吐を設けて落水時に堤体下流側の地盤にかかる水圧を分散するつくりとする。

左の画像は、扶壁、およびそこに設けられたサイフォン式余水吐。

なお、平成の補修工事の際に取り替えられた樋管のうち、中樋取水バルブと土砂吐樋門については当初のものが保管されており、これを附指定とする。また、基礎工事で使用する火薬を貯蔵した二棟の鉄筋コンクリート造上屋の壁体部分が残されており、これも附指定とする。

左  中樋取水バルブと土砂吐樋門      右 火薬庫跡
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豊稔池堰堤は、我が国で最初期に築かれたコンクリート造溜池堰堤であり、農業土木技術史上、価値が高い。また、アーチ式堰堤とバットレス式堰堤の特長を兼ね備えた先駆的かつ希少な構造形式と、地盤に対する余水の影響を軽減する創意に富む技術により厳しい地盤条件を克服した、昭和前期における堰堤建設の技術的達成度を示す遺構として重要である。

【参考文献】
『豊稔池の築造』(豊稔池土地改良区 平成6年)
『香川県近代化遺産総合調査』(香川県教育委員会 平成17年)
『日本の近代土木遺産〔改訂版〕』(土木学会 平成17年)」

文化庁国指定文化財等データベースより


マルチプルアーチ式コンクリートダムとは、アーチ式コンクリートダムの一つで、アーチがいくつか連なって水圧に耐える壁を形造っているもの。


豊稔池堰堤に関しては、他に
農林水産省公式サイト内、「水土里(みどり)電子博物館」ページ
観音寺(かんおんじ)市公式サイト内、観光案内ページ
に記載あり。


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by h9w457y8i | 2013-11-18 14:43 | 香川 | Comments(0)
だけでなく、世界各地の世界遺産見学のしかた、海外鉄道の乗り方、各地を訪れた時の街角スナップも。