文化財・建築用語解説

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【あ行】

アーチ径間  アーチの弧の直径。

アーチ式コンクリートダム コンクリートを主に使い、水圧をダムの両側の岩盤で支えるタイプのダム。真上から見ると、ダムの上端がアーチ=弧を描く。高さが200mを超えるような世界の大型ダムで多く採用されている。重力式コンクリートダムに比べると少ないコンクリートで施工できる反面、両側の岩盤が莫大な水圧に耐えうるだけの頑強さを持つ必要があり、造る場所が限られる。高さ186mの日本最大のダム、黒部ダムもこの形式。なお黒部ダムは両端が折れ曲がった形をしているが、これは「ウイング」といい、構造上水圧に耐えるようにする工夫。

アール・デコ  1925年の4月から11月にかけてパリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(Exposition Internationale des Arts Decoratifs et Industriels Modernes)」の略称を由来とする名称であり、1925年様式(Le Style 1925)とも言われている。1910年代から30年代にかけて、フランスを中心にヨーロッパを席巻した工芸・建築・絵画・ファッションなど全ての分野に波及した装飾様式の総称。工業の発展は、合成樹脂、鉄筋コンクリート、強化ガラスといった新素材を次々と生み出し、製品は大量生産され、19世紀とは全く違った商品と消費による新しい世界を開拓した。新しい価値観は、まず用と美との両立を目指していた応用美術の作家たちにも新しい美の創造を促したのである。アール・ヌーヴォーの最も簡素な側面、キュビスム、ロシア・バレエなど様々な芸術を根源として、直線と立体の知的な構成と、幾何学的模様の装飾を持つスタイルが徐々に確立されていった。1920年代というのは、現代生活の枠組みができた時代であり、飛行機が飛び、汽船による観光旅行が盛んになり、記者や車はスピードを上げ、世の中のあらゆるものがめまぐるしく動き始めていた。この動き−リズミカルでメカニックな動きの表現が、アール・ヌーヴォーの有機的形態に取って代わり、鉱物的で直線的なアール・デコの基調となっている。それは電波を表現したジグザグ模様やスピード感あふれる流線型、噴水の図様などに見ることができる。社会生活全般における様々なものが合理性と機能主義一辺倒となった時代、近代生活の走りと言える1920年代、30年代の、機能的でありながらも装飾美を兼ね備えたアール・デコ様式が、今日再び新鮮に受け止められている。日本国内においては、旧朝香宮邸が好例とされる。←旧朝香宮邸 展示室案内

アール・ヌーヴォー  19世紀末から20世紀のはじめにかけ、フランスを中心に欧州で流行した芸術様式。ガラスや鉄を使った植物模様や流れるような曲線が特徴。日本では日露戦争(1904〜1905年)後に流行した。←コトバンク

洗堰 「あらいぜき」 川幅いっぱいに石を敷き詰めて造る堰。堰の上を水が溢れて流れ出す構造になっている。水の流れを変えたり、川の水位や水量を調節するもの、また灌漑用水の取り入れ口に建設するものなどがある。→淀川旧分水施設

イオニア式  古代ギリシャの柱列建築様式の一つ。ドリス式 → イオニア式 → コリント式という変遷を経た。柱の頭部に渦巻状の飾りを持ち、柱の溝は深く、柱の基部には台がある。紀元前5世紀〜紀元1世紀ごろ。

一間社 「いっけんしゃ」 神社建築様式の一つで、屋根、ひさし部分を除いた本体の正面柱間が一つのもの。つまり、正面から見て屋根が二本の柱で支えられているもの。建物の規模は小規模となる。

伊東忠太 「いとうちゅうた」  1867年〜1954年。山形県米沢市出身。東京帝国大学教授。建築史家として法隆寺などの建築の研究を行った。また、日本建築の源流を探るべく明治35年から明治38年にかけて中国、インド、ペルシャ、トルコ、エジプト、ギリシャへの調査旅行を敢行。帰国後明治41年に西欧の建築の模倣から始まったわが国の建築において、古来の伝統的な木造建築の意匠を解釈、再構築して石造や煉瓦造などの建築へと発展させるべきという建築進化論を発表した。←文化庁国指定文化財等データベース

入母屋造 「いりもやづくり」  屋根を上部(上屋(じようや))と下部(下屋(げや))に分けて,上屋を切妻,下屋を寄棟でふき,これを一体化した屋根型。もともと,上屋の下の空間を“母屋(もや∥おもや)”と呼び,下屋の下の空間を“ひさしの間”と呼んだところからこの名称が生まれたのであろう。屋根のふき方は,上屋と下屋を区別せずに連続的に同じ構法でふくことが多いが,上屋を瓦ぶきとし,下屋を銅板など金属板ぶきとする例もあるし,同じ瓦ぶきでも,上屋と下屋の境に段を設けた錣(しころ)ぶきというふき方もある。 〜コトバンクより
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ヴォールト かまぼこ型にアーチを描く天井のこと。少ない柱で屋根を支えることができるという特徴がある。一枚の板を湾曲させたような単純な形の他に、ヨーロッパの教会やイスラム寺院に多く見られる「交差ヴォールト」「リブ・ヴォールト」がある。

エンタブラチュア  古代ギリシャ・ローマ建築で、円柱で支えられる水平材(屋根状のもの)の総称。3層から成り、下からアーキトレーブ・フリーズ・コーニスとよぶ。←コトバンク

折上天井 「おりあげ てんじょう」 一部が上に凹んだ天井。室内空間を広く見せる工夫。



【か行】

蟇股  かえるまた  日本の寺社建築で、梁(はり)や桁(けた)にかかる上からの荷重を支えるための構造物。カエルの股のような形をしていることから。
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春日造 「かすがづくり」 神社建築様式の一つ。切妻屋根で、破風の部分が正面を向き、そこから片流れのひさしが接続する。屋根の上には「X」字型の置き千木(おきちぎ)、円筒形の木を横向きに置いた鰹木(かつおぎ)が載る。奈良の春日大社に代表される。

片蓋柱 「かたふたばしら」 壁面から本来の形の約半分だけを突出させて取り付けた、装飾的な柱。

片山東熊 「かたやまとうくま」 1854年〜1917年。明治・大正期の代表的な建築家の一人。当時の一大国家プロジェクトだった東宮御所の設計を始め、日本赤十字社、帝国奈良博物館帝国京都博物館表慶館、神奈川県庁舎など、多くの大型洋風建造物の設計を担った。現在の東京大学工学部建築学科の前身である工部大学校の一期生。東京駅を設計した辰野金吾慶應義塾大学図書館を設計した曽禰達蔵(そねたつぞう)らと共に、日本の近代建築の父と呼ばれたジョサイア・コンドルの最初の弟子であった。←内閣府公式サイトコトバンク

緩衝地帯 「かんしょうちたい」 →バッファーゾーン

機械遺産 「きかいいさん」 2007年6月、日本機械学会が創立100周年を迎えたことを記念し、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、日本国内の機械技術面で歴史的意義のある機械を「機械遺産」として認定するもの。建造物だけではなく、モーター、エンジン、鉄道車両、文献などが認定されている。公式サイト参照。

木連格子 「きつれごうし」 狐格子とも。入母屋造の妻部分(屋根の横の三角部分)が格子になっており、その裏側に板が張られている構造。京都府の浄土院養林庵書院など。

橋台 「きょうだい」 橋の上部構造の両端を支持する基礎。橋梁の両端にあって、取り付け道路と橋梁を接続し、上部構造からの荷重および背面盛土からの土圧荷重を支持する下部構造。→橋の構造

擬洋風建築 「ぎようふうけんちく」 明治時代初期、西洋の建築様式を真似て、日本の大工が建てた建築物。時計塔、なまこ壁、瓦葺きなどが特徴。洋風と和風の混合だけでなく、中国風のデザインを取り入れたものもある。代表例として長野県の開智学校などがある。

切石積み 「きりいしづみ」 天然の石を立方体、または直方体に削って積み上げる工法。古くは古代エジプトでも用いられている。対義語は、自然の石をそのまま(少し加工することもあり)積んだ「野石積み」または「野面積み」。

切岸 「きりぎし」 山腹の岩場を垂直に削った人工の崖。中世の防衛施設の一つ。

切妻造 「きりづまづくり」 屋根形状のひとつで屋根の最頂部の棟から地上に向かって二つの傾斜面が本を伏せたような山形の形状をした屋根。広義には当該屋根形式をもつ建築物のことを指す。切妻屋根ともいう。~weblio辞書より。 屋根の形状の図(財団法人明治村公式サイトへ)

金唐革紙 「きんからかわし」 16世紀後半にオランダからもたらされた金唐革を模擬した和紙。紙を打ち出して凸模様を作り、そこに顔料、油、漆、金箔などで高度に装飾加工したもの。江戸時代には貨幣や小物の袋用に作られ、明治時代には壁紙用の大判紙が作られるようになり、輸出もされた。擬製金革、模造金唐革などと呼ばれたあと、昭和に入ってから金唐革紙の名前が定着した。←旧岩崎家住宅 現地案内看板

国登録有形文化財 →登録有形文化財

桁行 「けたゆき」 建物の桁の長さ。すなわち、一棟の家の長さ。デジタル大辞泉より。 

建築面積 「けんちくめんせき」  建物を真上から見たときの水平投影面積のこと。一般的には建築物の1階が占める面積にほぼ等しい。1階より2階の面積が大きい建物の場合は、2階を地面に投影した面積となる。

交差ヴォールト → ヴォールト

高欄 「こうらん」 勾欄とも。宮殿,寺院などの回り縁,橋の両側など,人が落ちないよう,また意匠的美観から設ける手すり。橋の場合は欄干と同義。←コトバンク

向拝 「こうはい」 御拝(ごはい)ともいう。社寺の堂や社殿の正面階段上にふきおろしの屋根,ひさしをつけたところ。ここで参詣者が礼拝する。←コトバンク  屋根の中央部分が前方に張り出した形になっている。

こけら葺き 「こけらぶき」 板葺の一種で「こけら=薄い木片」を重ねて敷き詰める方法、およびその屋根のことをさす。杉、椹(サワラ)、檜葉(ヒバ)、栗などの木材を、木目に沿ってはがしていき、薄い板にしたものを少しずつずらしながら重ねて並べ、竹釘で留める。←東村山市公式サイト/正福寺地蔵堂案内ページ

ゴシック様式  中世以降のヨーロッパ教会堂の建築様式を大雑把に二つに分けるとすれば、一つはゴシック式、もう一つはロマネスク式と言えるだろう。ゴシック式とは、心を高く高く上げるために高い尖塔を持ち、内部を明るくしてステンドグラス等をはめ込み、心を神に向けさせようとする造り方。一方のロマネスク式は、堂内をできるだけ暗くして、沈思黙考して心の中で神に祈ろうとする造り方。大浦天主堂公式サイトより。

小林正紹 「こばやしまさつぐ」 明治末期から昭和初期にかけて活躍した建築家。明治42年(1909年)工手学校卒業、大蔵省の建築職員として活躍し、枢密院(大正10年 1921年竣工)、帝国議会議事堂(昭和11年 1936年竣工、現国会議事堂)などの設計に携わった。←文化庁国指定文化財等データベース

五輪塔 「ごりんとう」 仏教の塔の一種。本来は密教系の塔で、墓、供養塔となることが多い。密教で説く五大(地、水、火、風、空)を表した物体を下から上に積み上げたもので、石塔が多いが、木製、金属製のものもある。鎌倉時代からは宗派にかかわらず用いられる。

コリント式円柱  古代ギリシャ建築の列柱様式のひとつ。ドリス式・イオニア式よりのちに成立。アカンサスの葉を飾った華麗な柱頭(ちゅうとう)が特色。←コトバンク

コロニアル様式  20世紀前半までのヨーロッパ諸国の植民地であった東南アジア等の熱い国で産まれた建築様式。床が高く、窓には風通しの良い鎧戸(よろいど)が取り付けられ、周囲のベランダの天井の板が格子状に組まれるなど、湿気の高い気候に適した構造となっている。←富岡製糸場公式サイト内フラッシュコンテンツ

権現造 「ごんげんづくり」 神社建築様式の一つ。本殿と拝殿の間を石の間と呼ばれる短い建物で連結する様式で、平安時代に始まり、桃山時代から盛んになった。日光東照宮が代表例。←コトバンク




【さ行】

桟瓦葺 「さんかわらぶき」 桟瓦と呼ばれる波板形の瓦を用いる葺き方。江戸時代から始まったもの(←建築用語辞典)で、現代の民家などで使われている瓦はほとんどこのタイプ。なお日本に古くからあるのは「本瓦葺」というもので、古いお寺の屋根などに使われる、丸い筒型の瓦を使った葺き方。

三間社流造 「さんげんしゃ ながれづくり」 神社建築様式の一つ。正面から見て、屋根やひさしを除いた本体部分の柱間(はしらま)が3つ、つまり4本の柱があり、かつ、正面側の屋根が前方に長く伸びて、母屋と向拝(こうはい)が同じ流れで葺いてあるもの。奈良時代末期から平安時代に成立した。宇治神社本殿が代表例。

地円飛角 「じえんひかく」 寺社仏閣建築の屋根を支える垂木が、円形の断面を持つものと角形の断面を持つ角材の二重で構成されている様式。鎌倉時代の平等院観音堂などにみられる。

式台玄関 「しきだいげんかん」 式台は、玄関の土間と床の間の板のことで、土間から床までの高さが高い場合に踏み台のように設置される。江戸時代の武家屋敷や農村の名主(なぬし)建築では、身分の高い武士や主君のみが使用できる表玄関に採用されることが多かった。このような場合、その家に居住する家族は式台玄関を使用することは許されなかった。今日でも伝統的な和風建築の玄関では、式台を設置する場合がある。

四脚門 「しきゃくもん」 → 「よつあしもん」

史跡 「しせき」  貝塚、古墳、城跡、歴史上いわれの深い庭園、歴史上重要な人物の墓、または重要な出来事が起きた場所等の遺跡で、我が国にとって歴史上または学術上価値の高いもののうち、国または地方自治体が指定した、文化財の一種。「旧跡」とも言う。国指定史跡は、文化財保護法に基づき文部科学大臣が指定したもの。

下見板張り 「したみいたばり」 建物外壁の張り方の一種。板を横長にして、下の板の上端に、上の板の下端を被せるような張り方。

重力式コンクリートダム  大量のコンクリートの自重により、水圧に耐えるタイプ。ダムの中では最も頑強であり、地震にも強い。日本ではこのタイプが最も多い。兵庫県神戸市にある五本松堰堤が、日本最古。他には、奥只見ダム、佐久間ダム、宮ヶ瀬ダムなどがある。ちなみに、有名な日本最大の黒部ダムはこのタイプではなく、アーチ式コンクリートダムに分類される。

主桁 「しゅけた」 →橋の構造

書院造り 「しょいんづくり」 室町時代中期に始まり、安土桃山時代に完成した日本の建築様式の一つ。武家住宅の様式で、玄関、台所などを別棟とし、それぞれの建物は単一の機能を持ち一棟の中に二室、あるいは三室などの複数の居室を設ける。主となる座敷は多くは上段の間とし、床、違い棚、付け書院などを備える。また外部に雨戸を持つ。現代の和室の原形。

床版 「しょうばん」 →橋の構造

ジョージアン様式  英国ジョージ王朝時代(18世紀~19世紀中ごろ)、イギリス人によって解釈されたイタリアン・ルネッサンスの建築様式。主に住宅に使われる。左右対称、1階と2階の外壁が同じ位置である総2階建て、窓の数が奇数という特徴を持つ。このうち、植民地時代にイギリス人によって北米大陸にもたらされ、木材が豊富であった北部ニューイングランド地方で木材外壁のデザインとして発展したものをニューイングランド様式(あるいはニューイングランド・ジョージアン様式)という。

身廊 「しんろう」 キリスト教聖堂内部の、中央の細長い広間の部分。入り口から祭壇(内陣)までの間。側廊との間は列柱で区分される。~goo辞書より

数寄屋造り 「すきやづくり」 日本の建築様式の一つ。「数寄」とは茶の湯、生け花、和歌など風流を楽しむという意味。安土桃山時代から江戸時代初期の茶の湯の流行に伴い、邸宅に用いられるようになり、その後料亭や茶屋などを通じて広く普及した。形式にとらわれず、床の間や違い棚などの位置を自由に配置した。

厨子 「ずし」 仏像や舎利(シャカの遺骨)、経典などを納める仏具。扉があり、屋根状の物を乗せて家の形をしているもの、円筒形のものがある。木造が多いが金属製もある。

セセッション様式  「ゼセッション」「ゼツェッシオン」とも呼ばれる。19世紀末にウィーンで結成された芸術家グループ、セセッションの工芸作品に見られ、その後20世紀初頭にかけ、ドイツ、オーストリアで盛んとなった建築様式。幾何学的なデザインや植物が渦を巻く模様などが特徴。日本では大正初期(1914年前後)の建築物などに見られ、日本工業倶楽部会館などに採用されている。

禅宗様 「ぜんしゅうよう」 鎌倉時代に禅宗とともに日本に伝わった中国北宋系の建築様式。第二次世界大戦以前は唐様 (からよう) ともいわれた。禅宗の教義,行事を背景として相当厳密に宋様式を移したものとみられる。 13世紀には京都,鎌倉に禅宗寺院が次第に建立され,禅宗様はそれを基に発展した。全体として整った感があり,意匠としては垂直性を強く出す。代表例は鎌倉の円覚寺舎利殿(国宝)。強い反りの屋根、窓枠の上部が複雑な曲線になっている花頭窓(かとうまど)、その上の弓欄間(波型の細かい板が並べられた欄間)などが特徴。←コトバンクその他

袖塀 「そでべい」 門や建物の脇に設けられた低い塀。




【た行】

タスカン式  →トスカーナ式

出桁造り 「だしげたづくり」 建物正面、軒下の構造に特徴がある建築様式。正面の柱から正面方向に飛び出た腕木(うでぎ)の上に、間口と並行に出桁と呼ばれる太い木を渡して、その上に屋根を支える垂木(たるき)を載せる構造。梁は普通、外壁よりも内側にあるが、それを外壁の外側にも設けることで、深い軒を支え、軒下の装飾ともなり、手の込んだ造りでもあることから、格の高い商家建築に用いられた。三河屋本店を参照。

辰野金吾 「たつのきんご」 1854年(嘉永7年)~1919年(大正8年)  建築家。父は唐津藩士。明治12年(1879年)に工部大学校(後の帝国大学工科大学、現在の東京大学工学部)造家学科第1期生として卒業、翌年イギリスに留学しロイヤル=アカデミー=アーツなどで建築設計を学ぶ。16年帰国、翌17年工部大学校教授となり、明治35年(1902年)まで建築設計の教育にあたる。退官後は明治36年(1903年)葛西万司と辰野葛西建築事務所、38年片岡安と辰野片岡建築事務所を創立し、もっぱら民間の建築家として活動。現存する代表作に日本銀行本店、東京駅丸の内本屋などがある。←国立国会図書館

ダム軸  河川を横断する方向でのダムの位置を示す、ダムの構造設計上の仮想的な線。←滋賀県公式サイト

粽柱 「ちまきばしら」 鎌倉時代以降、中国風の禅宗建築様式に用いられた柱の形式。丸型で、柱の上下がすぼまった形をしている。

チューダー様式  イギリスのチューダー王朝時代(1485〜1603年)に生じた建築様式。伝統的なゴシック様式にイタリアのルネサンスの装飾的要素を加えた様式で、垂直を強調することを特徴とする。聖堂建築が多いが、それとは別に木組みの梁や柱に漆喰や煉瓦の壁を持つ住宅建築もチューダー様式と呼ばれる。聖堂建築で代表的なものは、ケンブリッジのキングス・カレッジ礼拝堂、ロンドンのウエストミンスター・アビーなど。

 「つけたり」 その建造物の歴史的な価値を明らかにするような資料。←学芸出版社公式サイト
重要文化財の建築物に付随して指定される。

 「つま」 屋根部分の名前。切妻造、入母屋造の屋根の、庇(ひさし)がない垂直な壁の部分。下の図は切妻屋根だが、その薄い灰色の丸で囲った部分。
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帝室技芸員 「ていしつぎげいいん」 1890年に、皇室による日本美術、工芸の保護奨励を目的として定められた「帝室技芸員制度」により任命された美術家。年金が給与され、制作を下命されることもあり、技術に関する諮問を受けることなどが定められた。人格、技量ともにすぐれた者が任命され、美術家最高の栄誉と権威を示した。 1944年までに絵画45名、彫刻7名、工芸 24名、建築2名、写真1名の計79名が任命されたが、第2次世界大戦後この制度は廃止された。←コトバンク

頭首工 「とうしゅこう」 河川などから農業用水を用水路へ引き入れるための施設の総称。用水路の頭首に設置される工作物であることからこの名称が用いられる。通常,取水ぜきと取入口から構成されている。灌漑地区へ送水するのに必要な水量と水位を取入口で安定して確保できるよう取水ぜきを設ける。その位置としては,河川のみお筋が安定していて取入口を設ける岸の近くを流れ,洪水による河床の洗掘や土砂堆積を生じない地点が選ばれる。またせき上げ取水による上下流への影響が少ないことも要件となる。←コトバンク

登録有形文化財  文化財保護法に基づく「文化財登録制度」により、国の文化財登録原簿に登録された文化財建造物のこと。それまで文化財建造物の保護と言えば、重要なものを厳選し、改築などを制限する厳しい規制の元で手厚く管理するという「重要文化財指定制度」が取られてきた。一方、近年の国土開発や生活様式の変化などにより、その価値が評価されないまま急速に失われていく文化財建造物も多くあった。このような状況に歯止めをかけ、多種多様な文化財建造物を後世に受け継ぐため、平成8年(1996年)、文化財保護法改正において文化財の登録制度が作られた。この制度は、届出制という緩やかな規制を通じて幅広く文化財建造物を保護、管理する内容が盛り込まれており、従来の指定制度を補うものである。登録有形文化財(建造物)の登録基準は、原則として50年を経過した建造物で、かつ「国土の歴史的景観に寄与している」「再現することが容易でない」「造形の規範となっている」のいずれかを満たしていることが求められる。登録された文化財建造物は、保存と同時に様々な活用を行いやすいのが特徴。これまで通りに建物を利用することはもちろん、一定範囲の修繕や改装であれば届け出は不要なので、建物内部をカフェやコミュニティホールに作り替えて使うなど、事業活動や地域の活性化などに役立てることもできる。この登録制度を通じて、多くの文化財建造物が保護され、地域の街づくりや観光などに積極的に活用されることが期待されている。

トスカーナ式  古代ローマ建築の柱列様式の一つ。エトルリアの神殿様式に由来し、一見ドリス式に似ているが、柱身に彫溝(フルーティング)がなく、柱間(はしらま)も大きく、エンタブラチュアも簡素。

土庇 「どびさし」 地面に立てた柱で支えられる、深く張り出した庇。数寄屋造などで見られる。

ドリス式  古代ギリシャ建築の柱列様式のひとつ。最も古い時期のもの。柱に礎盤がなく、柱身はエンタシスと呼ばれる膨らみを示し、簡素な柱頭を持つ。ギリシャのパルテノン神殿に代表される。←コトバンク

トラス構造  複数の三角形の骨組みで建造物を支える構造のこと。三角形どうしはボルトやピンで結合され、自由に回転できるようにすることで、荷重を分散させる。




【な行】

長床 「ながとこ」 修驗道(山伏)で用いる言葉で、用途は拝殿とほぼ同じ。神に祈りを捧げる建物で、一般の神社拝殿よりも横に長い形状をしている。重要文化財では、宮城県 大崎八幡宮や、福島県 熊野神社にある。

流造 「ながれづくり」 神社建築様式の一つ。平入りの建物の、前面の屋根を手前に長く伸ばした形式。奈良時代末期から見られはじめ、本殿建築では最も多く取り入れられている。
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ニューイングランド・ジョージアン様式 →ジョージアン様式

ネオ・ゴシック建築 「ゴシック・リバイバル」とも言う。18世紀後半から19世紀にかけて興った、ゴシックの様式を踏襲した新古典主義の建築様式。イギリスを発祥とする。ゲーテやシュレーゲルなど、中世をキリスト教の理想世界とするロマン主義芸術家の間でゴシック芸術が崇拝され、これが建築に組み込まれていったもの。現存するもので有名なのは、イギリス国会議事堂のウェストミンスター宮殿。

ネオ・バロック  19世紀後半のヨーロッパで、古典主義に代わって起こった美術や音楽の様式。特に建築様式の上で明晰(めいせき)単純な形式に対して、華麗で変則的な傾向が一世を風靡(ふうび)した。←コトバンク 日本では、明治期以降に建てられた近代建築物の中で唯一国宝に指定されている旧東宮御所、旧横浜正金銀行本店本館が代表的。

ネオ・ルネッサンス様式  19世紀前期のヨーロッパで起こったルネサンス建築様式の復興をいう。ドイツのゲルトナーFriedrich von Gärtner(1792‐1847)はミュンヘンに建てたルートウィヒ教会(1829‐40)および国立図書館(1831‐40)で,イタリアのロマネスク様式やルネサンス様式に近い単純な煉瓦造りの半円アーチ様式を採用したが,これが石材に乏しいドイツの状況によく適合して流行し,やがてゼンパーによるドレスデンの宮廷歌劇場(1838‐41)のような優雅なルネサンス様式の採用に変化した。←コトバンク  日本の近代建築では、大阪市中央公会堂旧東京科学博物館本館などが例に挙げられる。

練塀 「ねりべい」 練った泥土と瓦を交互に積み重ねて築いた土塀。一番上は瓦葺きとなる。土と瓦の縞模様が美しい。




【は行】

八幡造 「はちまんづくり」 神社本殿の建築様式の一つ。切妻造りの建物を二つ前後に並べ、屋根を接続さてその接続部位に樋(とい)を設けたもの。大分県の宇佐神社、京都府の石清水八幡宮が代表例。

バッファーゾーン  世界遺産に登録される資産の景観や環境を効果的に保護するために、その資産を取り囲む地域に、法的又は慣習的手法により補完的な利用・開発規制を敷くことにより設けられるもうひとつの保護の網。バッファーゾーン自体は、世界遺産に登録される区域ではない。 ←文化庁文化遺産オンライン、および鎌倉市公式サイト世界遺産Q&Aより

梁間 「はりま」 矩形平面の短辺方向のこと。~建築情報.netより。つまり、長方形の建物を上から見たときの、短辺の長さ。

バロック建築  宗教改革後、16世紀末からカトリック教会の聖堂や王の宮殿などに多用された様式。名の由来は、「ゆがんだ真珠」を意味するポルトガル語の「バロッコ」。凹凸の強調や波打つ曲面、過剰な装飾などによる、不均衡な美しさが特徴。←世界遺産検定公式ガイド

樋門 「ひもん」 堤防の中にトンネル状の水路を設け、その水路内を流れる水量を調整するための門のこと。なお水門は、堤防を分断してそこに門を作った場合の呼び方。

表現主義 「ひょうげんしゅぎ」 元々は、20世紀前半にドイツを中心にして興った絵画の流れ。見た目の印象を強調する印象派に対し、作家の内面を表現することに重きを置いた。有名なムンクの「叫び」も、表現主義のパイオニアとされる。建築にもその潮流は影響し、モダニズム建築が採用した革新的な材料(コンクリート、ガラス、鉄など)や斬新なデザインに特徴がある。現存するものでは、ドイツのアインシュタイン塔やチリハウスが代表例。日本では上野の黒沢ビルにその一端を見ることができる。

平入り  ひらいり  主に切妻造りの、屋根の斜面がある側に入口がある建築様式。
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ピラスター  壁面より浮き出した装飾用の柱。付柱。柱形。

檜皮葺 「ひわだぶき」 ヒノキの皮を密に重ねて葺いた屋根。神社仏閣に主に用いられる。7世紀には文献に登場している。およそ30年に1度の葺き替えが必要とされる。←住吉大社公式サイト

ファサード façade  フランス語。英語のfaceと同義語。建築物の正面。ヨーロッパ建築で重要視され、正面と同程度の装飾がほどこされている場合には、側面についてもいう。~デジタル大辞泉より

扶壁 「ふへき」 壁の安定性を高めるため、適当な間隔で壁面から突出させた柱状や袖壁(そでかべ)状の部分。控え壁(ひかえかべ)、バットレスとも言う。←コトバンク

プレートガーター橋  鋼板を組み合わせて板(プレート)状にし、これを断面が「I」字形になるようなガーター(桁のこと)を組み立て、それを複数並べて作った鉄橋。鈑桁橋(ばんげたきょう)。「I」字断面を持つ桁を何枚か並べ、その上に板を張ると板の上が通行部分となるイメージ。ネットで画像検索すると分かりやすい。

ペディメント  古典様式の西洋建築で、切妻屋根の妻側にできる三角形の部分。日本建築の「破風」に相当する。(別の言い方をすると、2枚の長方形の板を張り合わせ、接合部分の直線を屋根の頂とするのが切妻屋根で、屋根の側面にできる三角形の部分。) 古代ギリシャの神殿建築が原型とされる。

ポーチ  建物の入口に付属してその外側に周囲を開放して設けられる屋根付きの構造物。入口を悪天候や日ざしから守り,建物に威容を与えるとともに,その正面の意匠に変化をつけるために設けられる。庇(ひさし)に支柱を施した簡単なものから上下2層の大規模なものまでその形態は多様であり,歴史も古い。ヘレニズム時代のギリシアではオーダーと三角形の破風を備えた豪華な例がみられ,ルネサンス期には古代の神殿風のポーチをもつ独立住宅が造られた。〜コトバンクより。

宝篋印塔 「ほうきょういんとう」 元々は、中国の呉越王銭弘俶が建立した塔で、内部に宝篋印陀羅尼という呪文を収めたもの。後に墓石、供養塔として建てられるようになり、日本では鎌倉時代以降に見られる。傘の四隅に飾りの突起があるのが特徴。石塔が多いが、金属製の物もある。典型例は箱根の多田満仲の墓とされる塔などだが、この他にも全国に多数存在する。

本瓦葺 「ほんかわらぶき」 →桟瓦葺(さんかわらぶき)




【ま行】

棟札 「むなふだ」 棟上げ時に工事の内容や施主、工匠の名などを記すとともに、平和、安全を祈願して棟木や束に付けた木札。→旧堀田家住宅記事に写真。 ←旧堀田家住宅現地案内看板

木骨煉瓦造 「もっこつれんがぞう」  木造の骨組みにレンガ壁を積み並べた構造で、西洋から入って来た建築技術。柱、梁といった木骨に屋根の重みがほとんどかかり、壁の部分に力はあまりかからない特徴がある。そのため、レンガだけで建てられた建造物よりも壊れにくい造りをしている。→旧富岡製糸場東置繭所  ←同現地案内看板




【や行】

やぐら  鎌倉時代から室町時代にかけて作られた埋葬施設。自然の、または人工的に造った岩の崖に横穴を掘り、そこに遺体を納めたもの。

翼壁 「よくへき」 橋台の両側、トンネル出入口、急斜面を背後にする建築物など、端部に土止めが必要なときに設ける石垣や擁壁のこと。「そで石垣」「ウィング」ともいう。 ~建築用語netより

横桁 「よこげた」 →橋の構造

寄棟造 「よせむねづくり」 屋根形状の一種。屋根の四面が勾配屋根で形づくられているもの。切妻屋根に比べ、雨仕舞は良いが、小屋裏換気の設け方に工夫を要する。~コトバンクより
文化財・建築用語解説_b0212342_06383879.jpeg

四脚門 「よつあしもん」 「しきゃくもん」とも読む。2本の親柱の前後にそれぞれ2本、計4本の控え柱を設けた門。ふつう切妻破風造りの屋根をのせる。




【ら行】

ルネサンス様式  15~17世紀初頭に、イタリアを中心に広くヨーロッパに普及した建築・美術様式。古代ギリシャ・ローマ様式を復興させ、建築ではシンメトリー(左右対称)とバランス(調和)を重視した。大理石の床、円柱やアーチ、絵画や彫刻で飾った壁、コーニスを施した外壁などが特徴。家具も彫刻や象嵌(ぞうがん)などで豪華に飾られた。イタリアのフィレンツェ大聖堂、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂、フランスのルーブル宮(現ルーブル美術館)、シャンボール城などが代表例。◇「ルネサンス」は「再生・復活」の意。「ルネッサンス様式」ともいう。←コトバンク

ロマネスク様式  ゴシック様式参照。




【わ】

ワーレントラス 「V」字と「∧」字が交互に組み合わさったような構造の橋。垂直材がないので、安価で軽量化できる。ただし橋の長さが長くなると、強度を保つために垂直材が入る。記事に掲載した例としては、旧筑後川橋梁の可動桁吊り下げ塔よりも外側の部分。


by h9w457y8i | 2014-01-01 00:25 | 用語解説 | Comments(0)
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